金曜シネマ倶楽部(原作の小説も読みたくなる1本)

「博士の愛した数式」(2006年)


お盆の季節は「男はつらいよ」シリーズが観たくなる

というわけで、同作で満男を演じた吉岡秀隆とリリーを演じた浅岡ルリ子が共演しているこの映画

シングルマザーの杏子は、家政婦として働いている
ある日、彼女は、なかなか家政婦が長続きしないという家に派遣されることになる
そこは、交通事故の後遺症で記憶が80分しかもたない数学者の「博士」が住む家だった
始めは戸惑った杏子だったが、数学を通じた博士の無垢で誠実な心遣いに触れ、息子とともに博士と心を通わせるようになる・・・

数字の持つ神秘や美しさを通して人と人の交流を描く手法は圧巻である
コロナ感染者に対する不当な中傷や自粛警察など嫌なニュースを耳にすることが多いが、そんなときに観るとホッとすることができる、そんな作品である

おすすめ!

ところで、博士役の寺尾聰も「男はつらいよ 寅次郎と殿様」にチョイ役で出ていたなぁ
「寅次郎と殿様」もシリーズの中では結構お気に入りなんだよね

2020年8月28日 | カテゴリー : 映画 | 投稿者 : morita

金曜シネマ倶楽部(この時期には)

「日本のいちばん長い日」(2015年)


今年は第二次世界大戦後75年

というわけで、75年前の8月15日の玉音放送までの顛末を描くこの作品

太平洋戦争の末期、連合国は日本に対してポツダム宣言受諾を要求する
受諾か、それとも本土決戦か
鈴木貫太郎首相は陸軍大臣や海軍大臣ら閣僚と閣議を続けるが議論は平行線のまま
そこへ広島、長崎に相次いで原爆が投下される
ついにこの国は決断する・・・

説明がほとんどなく、観客には不親切な映画と言えよう
ただ、「よく分からない」ということが、当時の国民の状況を表しているのかもしれない
そして、よく分からなければこの映画を機にそれぞれ調べれば良いのだろう
戦争を知らない世代の務めとして

大河ドラマ「麒麟がくる」で怪演を披露した本木雅弘だが、この映画では天皇という難しい役を見事に演じている
鈴木貫太郎首相役の山崎努も良い

猛暑が続いているが、この時期はどのような形であれ先の大戦のことに思いを馳せることが大事なのではないかなと単純に思う

2020年8月21日 | カテゴリー : 映画 | 投稿者 : morita

金曜シネマ倶楽部(とろろご飯が食べたくなる1本)

「映画 深夜食堂」(2015年)


例のウイルスは新宿の夜の街が危ないらしい

というわけで、新宿の路地裏が舞台のこの作品

「めしや」の営業時間は深夜0時から朝の7時くらいまで
メニューは豚汁定食だけで、あとは頼まれればできるものなら何でも作るよというのがマスターの営業方針
客が来るかというと、それが結構来るらしい・・・

テレビシリーズの映画化なのだが、登場人物の設定も踏襲されているので、先にテレビシリーズを観た方がより楽しめるだろう
と言うより、テレビシリーズは必見である
(前回ご紹介した「映画 鈴木先生」と同じだ!)
とにかく、小林薫演じるマスターが格好良いのだ!
映画版に限らず、テレビシリーズも含めて
人情ものあり、シリアスものあり、コメディありと、どの回も楽しめるのだが
特に個人的にお気に入りなのは
「再び赤いウインナー」
「煮こごり」
「きんぴらごぼう」
あたりかな

ぜひ、おすすめである!

ところで、東京の感染者数が増えている
「めしや」に通う常連客たちは大丈夫かなぁ?

2020年7月3日 | カテゴリー : 映画 | 投稿者 : morita

金曜シネマ倶楽部(学園ドラマの秀作!)

「映画 鈴木先生」(2013年)


新型コロナウイルスの影響で撮影ができず、ついに大河ドラマも放送休止

というわけで、「麒麟がくる」で主役の明智光秀を演じる長谷川博己が主演したこの映画

中学教師の鈴木は、独自の教育理論を持っていた
彼は、その理論実践のために小川蘇美という女生徒を自分のクラスに入れたが、彼女の魅力にやられてしまい、教師らしからぬ妄想に悩まされることになる
多感な年頃の中学生を相手に、奮闘する鈴木先生
そんなある日、学校で大変な事件が発生する・・・

テレビシリーズの映画化なのだが、登場人物の設定も踏襲されているので、先にテレビシリーズを観た方がより楽しめるだろう
と言うより、テレビシリーズは必見である
鈴木先生を演じる長谷川博巳も良いが
個人的には富田靖子の狂気ぶりがぴかいちだった
(「ぴかいち」って死語?)
そして、何とも妖しい小川蘇美役を土屋太鳳が見事に演じている

このブログは映画を紹介することになっているのだが
実は、映画版よりもテレビシリーズの方が格段に面白いので
「麒麟がくる」まで、そちらを堪能してみてはいかが?
まったく違うジャンルだけどね

2020年6月12日 | カテゴリー : 映画 | 投稿者 : morita

金曜シネマ倶楽部(ヒルはこわいよ)

「WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~」(2014年)


今年の大河ドラマ「麒麟がくる」を毎週楽しんでいる
というわけでこの映画、「麒麟がくる」で信長を演じる染谷将太が主演の青春コメディである

大学受験に失敗した勇気は、不純(?)な動機から林業の研修に参加する
携帯電話も繋がらない山奥の村で、厳しく危険な作業に悪戦苦闘する勇気
しかし、変わり者だらけの村人たちとの交流や、山での神秘的な体験をするうちに
彼は林業の魅力に気付いていく
そして、1年間の研修が終了する日がやってきた・・・

林業というあまり馴染みのない職業にスポットを当てたこの作品だが、その作業や風習などが非常に興味深く描かれている
出演陣も豪華だ
「麒麟がくる」では信長に敵わなかった斎藤義龍を演じた伊藤英明だが、本作では圧倒的に優位な立場で信長に、いや、染谷に絡んでくる
主人公が憧れる女性を演じる長澤まさみも良い
そして柄本明、光石研、マキタスポーツといった名脇役たちが作品を支える
肩の凝らないエンターテインメント映画の秀作と言えよう

おすすめ!

ところで、「麒麟がくる」は新型コロナウイルスの影響で撮影ができず、明後日7日の放送をもって一時休止するらしい
「なななあ日常」が早く戻ってくることを強く願う

2020年6月5日 | カテゴリー : 映画 | 投稿者 : morita

金曜シネマ倶楽部(これぞ映画!)

「ゴッドファーザーPARTⅢ」(1990年)


ステイホームで、連休中にDVDで全3作品を一気に観た「ゴッドファーザー」
(NHK BSプレミアムでも放送していたらしい)

というわけで、シリーズ完結編のこの作品

ファミリーのドンであるマイケルは、バチカンの加護を受けてすべての事業の合法化を画策する
しかし、彼を取り巻く環境はそれを許さなかった
ファミリーを守るための戦いのはずが、逆に家族を失っていくという矛盾
そして、世代交代の訪れと共に、最大の悲劇がマイケルを襲う・・・

第1作が1972年、第2作が1974年の公開なので映画館では観ていないが
この第3作は公開時に映画館で観ることができた
大学生だった当時は
「コッポラ監督は、なぜこんな余計なものをわざわざ作ったのか?」
と思ったものだ
しかし、30年ぶりに観直してみると(しかも3作続けて)
「このシリーズには、やはりPARTⅢが必要だった」
と思わされる
しかし、そういう意見は少数派かもしれない
果たして、あなたはどっち派?
なお、3作続けて観た感想だからね
(およそ9時間かかるから、「そんなことやらない!」が多数派だと思う)

2020年5月8日 | カテゴリー : 映画 | 投稿者 : morita

金曜シネマ倶楽部(キルゴア中佐、キレてます)

「地獄の黙示録」(1979年)


外出自粛が要請されている中、各地の海岸には「こんなときにサーフィンかよ!」とあきれるくらいたくさんのサーファーが来ているらしい

というわけで、「こんなところでサーフィンかよ!」とあきれること必至のこの作品

ベトナム戦争下のサイゴンのアメリカ軍上層部に呼び出されたウィラード大尉は、特殊任務を命じられる
それは、軍を脱走してカンボジアのジャングルで王としてふるまっているカーツ大佐の暗殺指令だった
ウィラードはこの秘密任務を果たすため、河川哨戒艇に乗り込み、カーツのいるジャングルを目指す・・・

ワーグナーの「ワルキューレの騎行」が流れる戦闘シーンがあまりにも有名なこの映画
誤解を恐れずに言えば、ストーリーは単純である
評価も賛否両論あり、万人受けする映画ではない
当時の論評に「前半は満点だが、後半は0点」というものがあるらしいが
個人的には、その意見に1票かな
ストーリーはともかく、迫力ある映像であること、それが圧倒的であることは間違いない
一見の価値ありである

ところで、タイトルに「地獄」が付いているけど
チャックノリスは出ていないので悪しからず
(マニアック過ぎる・・・)

2020年5月1日 | カテゴリー : 映画 | 投稿者 : morita

金曜シネマ倶楽部(007も公開延期か)

「トップガン」(1986年)


新型コロナウイルスの影響で、映画の新作公開が続々延期になっている

というわけで、実に34年ぶりの続編である「トップガン マーヴェリック」の今夏公開も危ぶまれているこの作品


アメリカ海軍のエリートパイロット養成学校「トップガン」
そこに天才的な操縦技術を持つマーヴェリックが配属される
彼は教官との恋や大きな挫折を体験しながら
エースパイロットへと成長していく

トムクルーズを一躍トップスターに押し上げたこの作品
今観ると気恥ずかしくなるくらい瑞々しい「これぞ!青春映画」である
ともすれば不安で気持ちも暗くなりがちなこの時期に
何も考えずにスカッとするにはもってこいの映画である
外出自粛で家でビデオで観るなら、アクション映画とか青春映画だよね!

間違っても「復活の日」とか「アウトブレイク」とか観ちゃダメだからね!

2020年4月10日 | カテゴリー : 映画 | 投稿者 : morita

金曜シネマ倶楽部(週末、どら焼きが食べたくなる1本)

「あん」(2015年)


桜の季節である

というわけで、桜の季節から始まるこの映画

アルバイトを募集しているどら焼きの店「どら春」にひとりの老女が「働かせてほしい」とやってくる
店主はまともに相手にしなかったが、その老女から渡されたアンコを食べてその美味しさに驚き、その老女を雇い入れる
彼女が作るアンコのおかげで店には多くの客が来るようになったが
ある日を境に、まったく客が来なくなった
その理由は、つらく悲しいものだった・・・

前回ブログにも登場した樹木希林の遺作である
そして、ともすれば目を背けたくなるような悲しい事実に、ほんの少しだけでも向き合うことができる映画である
樹木希林、市原悦子、そして永瀬正敏の渾身の演技を堪能すべし!

ところで、普通のどら焼きもいいけど
今の季節は、くらづくり本舗の「さくらどら焼き」かな

2020年3月20日 | カテゴリー : 映画 | 投稿者 : morita

金曜シネマ倶楽部(あの公園は無くなったらしい)

「海よりもまだ深く」(2016年)


うちの事務所から車で10分くらいのところにある清瀬市旭が丘団地

というわけで、そこが舞台のこの映画

小説家の良多は15年前に賞を取ったきり鳴かず飛ばずで、今はしがない探偵稼業
愛想を尽かした妻は子を連れて離婚
養育費の支払いも滞りがちの良多だったが、月に1回の子との面会が何よりも楽しみ
そして嵐の夜に、良多と子と元妻は、良多の母が住む実家の団地で一夜を過ごすことになり・・・

どうしようもないダメ人間だがどこか憎めない良多役を、阿部寛が好演
そしてそのダメな息子を優しく見つめる母役を、樹木希林が見事に演じている
この二人は、同じ是枝裕和監督の映画「歩いても 歩いても」でも親子を演じているが、こちらの方がほっこり感が強い
(と言うか「歩いても 歩いても」の樹木希林はどちらかと言うと怖いのだ)
映画の宣伝文句によると「なりたかった大人になれなかった大人たちへ贈る」ということらしい
切ないながらもちょっとした希望を見つけられるかもしれない、そんな映画である

ところで、同じくうちの事務所の周辺が舞台の小説「平場の月」(朝倉かすみ著)も
切ないんだなぁ、これが!

2020年3月13日 | カテゴリー : 映画 | 投稿者 : morita